脂性肌に起因する毛穴の開きは、原因が一つではない複雑な症状です。過剰な皮脂分泌、それによる角栓の形成、そして加齢に伴う肌のたるみ。これらの要因が絡み合うことで、セルフケアでは改善が困難な状態に陥ることが少なくありません。このような複合的な悩みを抱える肌に対して、美容医療の現場では、複数の治療法を組み合わせるコンビネーション治療が非常に有効なアプローチとなります。ここでは、ある架空の患者様の事例をもとに、コンビネーション治療がどのようにして頑固な毛穴の悩みを解決していくのかを見てみましょう。患者様は30代前半の女性。悩みは、Tゾーンの強いテカリと、特に頬に目立つたるみ毛穴、そして鼻の黒ずみ毛穴でした。彼女の肌は、典型的な脂性肌でありながら、年齢と共にコラーゲンが減少し、肌のハリが失われ始めている状態でした。この状態に対し、単一の治療では十分な効果が得られないと判断し、我々は三つの治療法を組み合わせたプランを提案しました。まず最初に行ったのは、ハイドラフェイシャルです。これは、水流を利用して肌表面の余分な皮脂や角質、毛穴の奥の汚れを吸引しながら、同時に保湿成分を導入する治療です。これにより、鼻の黒ずみの原因である頑固な角栓を優しく、しかし徹底的に除去しました。肌に負担をかけることなく、毛穴の詰まりをリセットすることが第一の目的です。次に、肌質そのものの改善と皮脂分泌のコントロールを目指し、サリチル酸マクロゴールピーリングを2週間に一度のペースで計4回実施しました。サリチル酸は脂溶性であるため、皮脂腺に浸透しやすく、毛穴の中の皮脂を溶かし出す効果に優れています。また、肌のターンオーバーを促進することで、毛穴が詰まりにくい状態へと導きます。このピーリングを継続することで、Tゾーンのテカリが大幅に軽減され、肌全体のキメが整ってきました。そして、コンビネーション治療の核となるのが、たるんで開いてしまった頬の毛穴に対するアプローチです。ここでは、ポテンツァを選択しました。マイクロニードルで真皮層に直接高周波の熱エネルギーを届けることで、皮脂腺を萎縮させると同時に、コラーゲンの生成を強力に促進します。
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