脂性肌や毛穴の開きに関するスキンケア情報は、インターネットや雑誌に溢れていますが、その中には科学的根拠の乏しいものや、かえって肌の状態を悪化させてしまう可能性のある誤った情報も少なくありません。ここでは、多くの人が信じがちな、脂性肌と毛穴に関するよくある誤解を解き明かし、正しい知識を身につけていきましょう。まず一つ目の誤解は、「脂性肌はとにかく皮脂を徹底的に取り除くべき」という考え方です。テカリやべたつきが気になるあまり、洗浄力の強い洗顔料で一日に何度も顔を洗ったり、あぶらとり紙を頻繁に使ったりしていませんか。これは逆効果になる可能性が非常に高い行為です。肌に必要な皮脂まで奪ってしまうと、肌は乾燥から身を守ろうとして、かえって皮脂を過剰に分泌しようとします。これにより、インナードライと呼ばれる、肌の内部は乾燥しているのに表面はべたつくという悪循環に陥ってしまうのです。洗顔は一日二回までとし、肌の潤いを守りながら優しく洗うことが基本です。そして、洗顔後は必ず保湿を行い、肌の水分と油分のバランスを整えることが重要です。二つ目の誤解は、「毛穴パックで角栓を取れば毛穴は小さくなる」というものです。毛穴パックで角栓がごっそり取れると、一時的にすっきりとした爽快感が得られますが、これは根本的な解決にはなりません。無理やり角栓を引き抜く行為は、毛穴周りの皮膚に大きな負担をかけ、炎症やさらなる毛穴の開きを助長する原因となり得ます。また、パックによってぽっかりと穴が空いた状態になった毛穴は、すぐにまた新たな皮脂や汚れで埋まってしまいます。角栓ケアは、剥がすタイプのものではなく、酵素洗顔やクレイマスク、ピーリング効果のある美容液などで、優しく溶かし出す方法がおすすめです。三つ目の誤解は、「収れん化粧水を使えば毛穴は引き締まる」というものです。アルコールなどが配合された収れん化粧水は、肌表面の温度を一時的に下げ、タンパク質を収縮させることで、毛穴がキュッと引き締まったように感じさせます。しかし、これはあくまで一時的な効果であり、毛穴の構造そのものが小さくなったわけではありません。むしろ、アルコールの刺激が肌の乾燥を招き、長期的に見れば皮脂の過剰分泌に繋がる可能性もあります。
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